プロダクトを作っていると、いろいろなところから要望が届きます。営業からは「あのお客さんがこう言っている」、カスタマーサポートからは「問い合わせでこういう声が多い」、ユーザーからは直接のメッセージ。集まってくる場所はSlackだったり、メールだったり、スプレッドシートの片隅だったりします。
散らばった要望を一箇所に集めよう、というところまでは多くのチームがやります。要望を書き溜めて、件数を数えて、多いものから順に対応する。よくあるやり方です。ですが、これだけでは優先順位を決められていないことに、多くのチームが後から気づきます。
件数は「何を優先すべきか」を教えてくれない
「検索が遅い」という要望が10件あったとします。件数だけ見れば、優先度の高い課題に見えます。でも実際に1件ずつ読んでみると、10件の中身はバラバラだったりします。
ある人は「検索結果が出るまで数秒待たされるのがストレス」と書いていて、別の人は「そもそも検索対象に含まれていないデータがあるのが困る」と書いている。同じ「検索が遅い」というタイトルでも、困っている理由はまったく違います。前者は表示速度の問題で、後者は検索範囲の設計の問題です。どちらも改善したほうがいいのは間違いないのですが、「10件集まったから優先度が高い」という判断だけでは、どちらを先に直すべきかは分かりません。
件数は「声の大きさ」を教えてくれますが、「なぜ欲しいのか」という理由までは教えてくれない。当たり前のことのようで、日々の業務の中では意外と見落とされがちです。要望が増えれば増えるほど、1件ずつ本文を読んで背景を推測する時間は取りづらくなり、結局は件数と声の大きさだけで優先順位を決めてしまう。
さらに厄介なのは、「なぜ欲しいか」を確認しようにも、要望を出した本人に聞き直す手間が発生することです。営業経由・サポート経由で間接的に届いた要望であればなおさらで、聞き直すタイミングを逃したまま件数だけが積み上がっていく、ということが起きがちです。
理由まで言葉にする、という発想
この課題感から作ったのがFeeduryというツールです。要望を投稿・共感(投票)・ステータス管理できるという点では、既存のフィードバック管理ツールと同じジャンルに入ります(ツールの選び方は「フィードバック管理ツールとは?個人開発〜小規模SaaSのための選び方」で詳しく整理しています)。
Feeduryが少し違うのは、投稿された要望に対して「誰が・何に困っていて・なぜそれが欲しいのか」をAIが短くまとめる機能を、収集の仕組み自体に組み込んでいる点です。投稿してもらったあと、必要に応じてもう少し詳しく聞く質問を出す仕組みも用意しています。「検索が遅い」という投稿に対して「具体的にどんな場面で困りましたか」といった質問を選択肢付きで出し、回答してもらうと投稿の内容に追記される形です。回答は必須ではないので、忙しい人はスキップしても投稿自体は成立します。
似たような内容の要望は自動でまとめて、合計でどれくらいの共感が集まっているかも見られるようにしています。「件数は少ないけれど深刻な理由を抱えた要望」を、件数の多い要望に埋もれさせないようにする、というのが狙いです。
要望を統合したり、ステータスを進めたりする最終判断は、常に人が行う設計にしています。AIが集計や要約を助けてくれるのは便利ですが、「この要望とこの要望をまとめてよいか」「本当にこの機能を作るべきか」という判断まで自動化してしまうと、現場の感覚とズレるリスクの方が大きいと考えたためです。
正直なところ
Feeduryはまだ立ち上げたばかりで、導入実績はありません。今まさに、最初に使っていただける方を探している段階です。この課題(要望の件数と本当の優先順位がズレる、という課題)は、業界や国を問わず起きることだと考えています。
現在はすべての機能を無料で使っていただけます。クレジットカードの登録も不要です。もし「うちも似たような悩みがある」と感じた方がいれば、まずはデモボードを覗いてみてください。架空のタスク管理SaaSに寄せられた要望という設定で、実際の投稿やステータスの動きを見ていただけます。
要望を集める仕組みは、多くのチームがすでに何かしらの形で持っています。そこに「なぜ欲しいのか」まで拾える一手間を足すだけで、優先順位の付け方はだいぶ変わるはずです。同じようなことで悩んでいる方の参考に、少しでもなれば嬉しいです。